筆者らは,平面構造で複数の減衰極を持つ周波数選択板(FSS: Frequency Selective Surface)を共振器として用いたFSS装荷導波管フィルタを設計してきた.本報告では一層の小型化を図るために,フィルタの同軸入出力部にFSSを用いた新しい有極導波管フィルタを提案する.本フィルタでは同軸入出力部のFSSが同軸-導波管変換器を兼ねるため,通過域ではFSSの共振現象によってモード変換を行う.そのため,同軸プローブから導波管終端短絡までの距離を大幅に短縮でき,フィルタサイズも小型となる.さらに,阻止域ではFSSの反共振現象によって減衰極も形成する.例として共振器3段の帯域通過フィルタを設計した結果,導波管キャビティ1つ分のサイズで6つの減衰極を有する小型かつ高選択性のフィルタが得られた.設計結果の有効性は実験値と解析値の一致により確認した.
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