繰り返し学習方式によるカクテルパーティ効果を伴う脳記憶系のニューロン科学的解釈－アナログ·ディジタル的動作特性を持つニューロン·ネットワークのHebb学習モデル

摘要

私たちの脳は、何故に、一回の学習で記憶できないのでしょう？生存上、有利な理由があるはずです。また、雑音だらけの立食パーティ会場で、何故、普通の音程で、相手と話すことが出来るのでしょう？その最大の理由は、脳の能動的な記憶機構にあります。本稿では、カクテルパーティ効果を、聴覚だけの特定感覚に限定せず、脳が有する、より一般的な、パターン認識能力の範疇で捉えます。誤字脱字にすぐ気付いたり、群衆の中から、知人を素早く見つけだしたりする能力などもこの範疇に入ります。この広義のカクテルパーティ効果を“雑音の多い環境下で、特定対象を選択的に認識する能力”と見なし、解明を進めます。本稿では、その基本となる、繰り返し学習方式による記憶機構を、ニューロン·シナプス·レベルのミクロ面からモデル化し、説明します。