火災加熱を受けた高強度鋼材の材料特性の評価に関する一提案

摘要

鋼橋の火災被害の大規模な事例として，2008年首都高速5号線におけるタンクローリー車の事故がある［1］．この事例では，ガソリンや有毒ガス等が起因して，急激な温度上昇を伴う火災が発生し，部材の座屈や落橋等，大規模な修繕が必要となった．一方，小規模な鋼橋の火災被害としては，桁下を不法占拠していた者による火の不始末から成る火災が原因で，塗装の変色や部分的な剥離による錆の進行が生じ，主桁や添接部等の強度低下が起きる可能性が危倶されている．このような場合，桁に大きな変形を伴うことがないため，銅材の強度が低下しているか否か，外観性状からでは判断することができない．