坑井内3軸ダブルゾンデを用いたコヒーレソト地下弾性波の検出法とAEを音源とする反射法への適用

摘要

本報告では，坑井内3軸ダブルゾンデを用いて検出した3次元ホドグラムの時間-周波数領域での解析により,コヒーレント弾性波の到来時刻を検出する方法について述べた.ここでほ，3次元ホドグラムのフーリエ変換が3次元空間中での楕円を表すことに着目し，時間-周波数領域で2つのホドグラムの類似性を評価する方法を検討した.シミュレーションの結果，本方法によれば，波形および振動方向について双方がが類似している場合についてのみ，それらをコヒーレソト波として弁別することが明らかになった。 また，本手法によればS/N比が-6dB程度でもコヒーレント波の検出能力を有することが明らかになった.さらにTFC法でほ，波形の類似性を評価することが可能であるが，その振動方向の情報は使用していないため,インコヒーレントな波をコヒーレソト波として誤検出する可能性があることも明らかになった。さらに3次元TFC法を葛根田地熱地域で計測したAE信号へ適用したところ,AE反射法ならびに地下構造情報と整合する反射イメージを得ることができた。 以上のことから，3次元TFC法ほ，直達波,反射波，回折波のようなコヒーレント波とコーダ波に代表されるインコヒーレント波を比較的精度よく弁別可能な手法であると結論付けられる.本論文では3次元TFC法をAEを音源とする反射法計測へ適用したが，本手法はこの他,VSP，クロスホール計測,AEマッピング，SWD（Seismic While Drilling）等にも適用が可能であると考えられる。