新形“W&WSシリーズ”遮断器の小型化技術

摘要

近年における低圧配電設備の大容量化·省スペース化に伴い，配線用遮断器·漏電遮断器に関しても外形寸法の小型化·標準化に対する根強いニーズが存在する。 しかし，遮断器では，短絡電流などの大電流遮断で発生するアークを素早く消滅させるため，十分な消弧スペースが必要である。 また，定常通電時は電流の2乗に比例する熱が遮断器の内部導体から発生するが，温度上昇を規格値内に抑えるために，導体の電気抵抗を低減し，十分な放熱スペースを確保しなければならない。 遮断器の小型化にはこのような課題が存在するが，新形W&WS (White & World Super)シリーズ遮断器630アンペアフレームでは，外形寸法を従来の63％に低減した。 今回の製品開発では，次のような技術を新規に採用した。(1)中間ベース構造 筐体（きょうたい）を構成するベースとカバーの間に簡易形状の中間ベースを設置し，PA (Polymer Ablation)－オートパッファ効果により単位体積当たりの遮断性能を向上させた。 (2)新シャントレス通電技術 シャントレス通電構造部分に薄形コイルばねを使用した。 このばねを通電摺動（しゅうどう）部の押圧確保に利用することで，大電流の接触抵抗を省スペースで安定させた。 (3)分割式クロスバー 可動接点保持部材のクロスバーを局部的に樹脂材料から金属に代えることで，強度を確保しつつ横幅寸法を小型化した。