鉄道車両用推進制御装置へのHVIPMの適用

摘要

鉄道車両におけるパワーエレクトロニクス応用技術製品として代表的なものに車両推進制御装置（VVVF (Variable Voltage Variable Frequency)インバータ装置，主変換装置）がある。 この車両推進制御装置に求められるものは，速く，時間に正確で，安定に大量輸送を実現する高い機能と高い信頼性を両立することである。 近年では，さらに，より快適に，より環境と人に優しく，といった，省エネルギー化の要求，地球環境への配慮も求められている。 この装置に適用される主回路半導体素子としては，1980年代以降この20年の間に，GTO（ゲートターンオフ）サイリスタからパワートランジスタを経てHVIGBT (High Voltage Insulated Gate Bipolar Transistor)への急速な進歩を遂げた。 HVIGBTは，現在もなお進歩を続け，高耐圧·低損失化が進められ，装置のコンパクト化に寄与している。 三菱電機では，更なる装置のコンパクト化，高信頼度化を進める上で，HVIGBTとその制御·保護機能を同一パッケージに格納したHVIPM (High Voltage Intelligent Power Module)の適用を推進している。 今回，その制御·保護機能に信号·制御電源の絶縁インタフェース機能を加えた新しいタイプのHVIPMを開発するとともに，それを適用したコンパクトなパワーユニット“MELPAC2000シリーズ”を開発した。 本稿では，これらの技術について述べる。