秘匿通信アレーアンテナ

摘要

無線通信はオープンな空間で電波を用いて情報を送受信するため，電波傍受によって解読される可能性がある。通信用アンテナとして複数の素子アンテナを配列したアレーアンテナを用いると，アンテナの指向性で送信方向によって信号の強弱を作り出すことができるが，全方位に同一信号が送信されるため，通信方向外でも傍受されて解読できてしまう。この対策の一つとして電波や信号処理を活用してセキュリティを高める技術が近年注目されている。アレーアンテナに備わる移相器や可変減衰器等を使って搬送波を変調することで，通信方向外の信号を不規則化して復調を不可能にし，限られた方向で復調を可能にするのが秘匿通信アレーアンテナである。このアンテナでは，所望信号ビームと干渉信号ビームを同時形成してビームを時間変化させる方式を用いて秘匿通信を実現している。この方式を用いた秘匿通信アレーアンテナの通信性能を評価した結果，復調が可能となる角度幅を従来のアレーアンテナと比較して約1/5に狭くできることを確認した。