酢酸菌Gluconacetobacter europaeusによる 分岐鎖アミノ酸の生産

摘要

比較ゲノム解析カゝらGhtconacetobacter europaeusには 分岐鎖ァミノ酸（BCAA,バリン，ィソロイシンおよび ロイシン）の生合成経路が存在し，過剰生産を抑制する フィードバック制御機構の存在が推測された.本研究で はバリンのアナログであるalpha-ァミノ酪酸(ABA)の耐性 株を作出することで，本菌のBCAA蓄積の可能性を検証 した.食酢発酵液より単離されたGa. europaeus M0119 株をNTGで処理し，ABA耐性株（ABAr株）を得た. これらの多くはBCAAを培地中へ蓄積した.分離され たABAr株のうち，もっともBCAA生産能の高かった ABArl-56株に注目し，生育段階におけるBCAAの生 産性を検討した.ABArl-56株は対数増殖期から効率的 にパリンを蓄積し（111mg/l)，定常期にはロイシンも蓄 積した（20 mg/l).バリンおよびロイシンの初発基質は ピルビン酸であり，遊離ピルビン酸量の上昇が期待され る種々の炭素源を添加して培養を行ったところ，乳酸ナ トリゥムの添加でバリン蓄積量の顕著な上昇が見られた (非添加時の約1.5倍）.今回得られた知見は，酢酸菌 Ga.europaeusがBCAAの生産菌として利用できる可能性を示唆する.