生育時期別に異なる高さで測定した携帯型NDVI測定機によるNDVI値と極穂重型水稲「いわいだわら」の 窒素栄養指標値との関係

摘要

正規化植生指数（NDVI)は，赤色光（RRED)および近赤 外光（RNm)の反射率から（1)の式で表される.植物が赤外 光を吸収し近赤外光を反射することから，NDVI値には植 生の分布や繁茂状況が反映され，作物の栄養診断手法とし ての利用からも注目されてきた（鳥山，2009).特に近年，ドローンにNDVI測定機を搭載し，圃場 スケールで簡易に栄養診断する技術開発が進められてい る（片桐ら，2016;田中、近藤，2016)せ,まだ生産者自 身が自在に生産現場で利用できるには至っていない.一 方スケールは小さくなるせ,携帯型のNDVI測定機で あれば，生産者が知りたい時に知りたい場所へ持ち運 び，自身の手で速やかに測定することができる.携帯型 については，我が国で開発された「携帯式作物生育測定 装置」（紺屋，2004)によるNDVI値の水稲の栄養診断への利用の口」能1生が不されている（堀尾、 W屋，2007;佐々 木，2007).本機は100万円以上する力s,近年これよりも 安価（10万円以下）な携帯式NDVI測定機(GreenSeeker Handheld Crop Sensor,株式会社ニコン'トリンブル） が国内で入手可能となった.浪川ら（2016)は，穂数型 (ササニシキ），偏穂数型（あきたこまち），および中間 型（つぶぞろい）の良食味米3品種について，同機によ るNDVI値から窒素吸収量が推定できる可能性を示した. 一方，生産現場における栄養診断では草丈，茎数，葉色 (SPAD値）が測定される.これらの積は窒素吸収量と相 関が高いことから，窒素栄養指標値として用いることがで きる（北田ら，1991;末信ら，1994;佐藤ら2003).しか し，本携帯型NDVI測定機によるNDVI値と窒素栄養指 標値との関係は検討されていない.