東南アジアにおける魚病診断技術の向上と防疫体制の構築をぬざして

摘要

私は、2003年4月から2005年3月までフィリピンにある東南アジア漁業開発センター（Southeast Asian Fisheries Development Center、略称：SEAFDEC）養殖部局において、日本政府の信託基金（トラストファンド）を得て実施されている魚病プロジェクトを指揮する機会を与えられた。 本稿では、この魚病プロジェクトの概要を述べる。 私がここで記述するのは魚病プロジェクトが始まった2000年3月以後、2005年3月までの第1期5年間の活動である。エビ類の高い養殖生産のため、水産養殖における東南アジアの重要性はよく認識されている。 しかし、この地域における魚病問題やそれに対する日本政府の支援の様子はあまり知られていないのが実情だろう。 私が関与した東南アジア漁業開発センター養殖部局での経験は極めて限られたものであるが、本稿がそれらを理解する一助になれば幸いである。