個体識別用ラベルシールの貼り付け力《種卵に対する 消毒効果およびふ化成績に及ぼす影響

摘要

われわれは，ニヮトリの育種改良に必要な種卵の情報を電磁的処理し.正確かつ省力的にデータを収集することを目的 に，種卵に個体識別用のラベルシールを貼る方法を考案した。本報告では，この方法が.ニヮトリの育種改良における データ収集技術として利用可能か，シール貼り付けによって懸念される種卵の卵殻表面への消毒効果とふ化成績に及ほす 影響を調査した。試験1では，大腸菌を塗布した標準寒天培地にラベルシールを貼ってハイべロックスにより煙霧消毒し，ラベルシール貼り付け面の消毒効果を確認した。試験2では，消毒前の種卵の卵殻表面，消毒後の種卵の卵殻表面， 消毒後の種卵のシ一ルを貼り付けていた卵殻表面および消毒後の種卵に貼り付けていたラベルシールのシール面の汚染度 合を，標準寒天培地を使って調査した。試験3では，ラベルシール非貼り付けと貼り付けの種卵をふ化し.ふ化成績への 影響を比較した。試験1の結果，標準寒天培地のシール貼り付け面で細菌の集落は確認されず.ラベルシールの上からで も煙霧消毒が有効であること力《示唆された。試験2の結果.消毒前の種卵卵殻は軽度に汚染されていたが.消毒後の種卵 卵殻表面およびラベルシールのシール面はごくわずかな汚染または汚染なしとなつた。いずれの採材場所も，消毒前の種 卵卵殻表面よりも汚染度合が低下しておりCP<0.05),煙霧消毒が有効であることが示唆された。試験3の結果，ラベル シールの貼り付けによるふ化成績に差は認められなかった。今回使用したラベルシールの大きさや材質であれば.ラベル シールによる卵殻表面の被覆は問題にならない程度で，ヒナの発生にほとhど影響しないこと力《示唆された。以上の結果 から，種卵に対するラベルシールの貼り付けは，消毒効果およびふ化成績に影響を及ぼさず，種卵の個体識別に利用可能 な技術であると確認できた。