種々の糖の存在下におけるラット精子の凍結保存について

摘要

ラットやマウスなどの小実験動物における配偶子の凍結保存は，遺伝資源の有効利用の観点から遺伝情報の研究促進のためにも，その重要性が増しつつある。 周知のごとくラット、マウスの受精卵や初期胚の凍結保存は，1971年Whittinghamらによる成功を初めとして以来，多くの動物種において完全ゲノムの保存が可能となっている。 近年では，これらの小実験動物の未受精卵の凍結保存も可能となり雌性haploidゲノムも保存できうるようになった。 一方これらの動物の精子の凍結保存について，1985年竹島らはマウスの精子ではラフィノース（raffnose）を凍害保護物質として利用することにより凍結保存が可能であると報告した。その後，ラフィノース最終濃度18％液での凍結精子の体外受精，人工授精などにより産仔が得られるようになった。 このことはマウス雄性haploidゲノムの保存が可能になったことを示している。