ラッカセイの葉における光合成と呼吸の品種間差

摘要

自然光ファイトトロンを用いて，昼／夜28／23°C，相対湿度60％，空気中CO_2濃度380ppmの条件下で13品種のラッカセイ（Arachis hypogaes L．）を土耕した。 播種後30－40日に，上位から第4番目の完全展開葉をリーフパンチで打ち抜き，光合成による酸素の放出と呼吸による酸素の吸収とを，気相型酸素電極システムによって測定した。 測定に用いた葉は80°Cで乾燥して乾物重を求め，予め測定した葉面積に対する比率（比葉重）を求めた。 光合成，呼吸，比葉重それぞれについての品種間差，およびすべての供試品種について光合成，呼吸，比葉重の間の相関等を，他の品種特性も考慮しつつ検討した。 その結果，光合成速度，呼吸速度ともに平均値±17％の品種間差異が認められた。 光合成速度に関して，上位3品種は13品種の平均値よりも約24％高く，またそれらの品種は呼吸速度も17％高かった。 13品種をこみにした場合，光合成速度と呼吸速度の間には弱い正の相関が認められ，比葉重と呼吸速度との間にも正の相関がみられた。 しかし，遺伝子型，形態，葉色などとの関連ははっきりしなかった。 今後，品種間差の機構を明確にするには，光合成速度が対照的に高い品種と低い品種を選択して解析することが有効であろう。