二酸化硫黄および関東ロームダストの吸入曝露によるウサギ血球の生理反応

摘要

二酸化硫黄（SO_2）のみおよびこれに関東ロームダストを同時に吸入曝露したときのウサギ呼吸機能に対する影響を調べるため，SO_2の血中移行，赤中球膜透過およびヘモグロビン酸化度合を測定した。 血中ピロ亜硫酸イオン（S_2O_5~(2-)），亜硫酸水素イオン（HSO_3~－）および亜硫酸イオン（SO_3~(2-)）は，生理的条件下では識別困難のためSO_3~(2-)で代替表示した。 その結果，SO_2濃度40v／vppm，18時間の吸入曝露時に，亜硫酸酸化酵素活性が有意に低下し，さらに関東ロームダスト同時曝露時および時間延長時には，この低下が促進される傾向にあった。 亜硫酸酸化酵素活性の低下に呼応して，血清中亜硫酸イオン濃度も増加した。 ヘパリン加全血に加えた亜硫酸イオンの赤血球内浸透ほ，膜により妨害され，1．0mMの濃度時にその約0，3％が内部に侵入し，2．0 mM以上では浸透度が急速に高まった。 溶血液中オキシヘモグロビン（Oxy-Hb）ほ，全血中亜硫酸イオン濃度10 mM以下では脱酸素およびフェリヘモグロビン（Ferri－Hb）への酸化は僅少であり，対比に使用した亜硝酸イオンでほ脱酸素とHb酸化が容易に進行した。