ベンケイソウ科植物の種間雑種F1におけるNegative Heterosisに関するRAPD解析

摘要

ベンケイソウ科植物のコダカラベンケイソウBryophyllum daigremonlianumとセイロンベンケイソウB. pinnatumは，観葉植物の園芸品種として一般に親しまれている植物である。 山下がコダカラベンケイソウを花粉親として，セイロンベンケイソウとの種間雑種のF1を創成したところ，このF1は個体として両親より貧弱であり，さらに耐虫性の点でも劣り，いわゆるマイナス方向への雑種強勢（negative heterosis）を示した。 すなわち，上記の三種の植物を温室で栽培すると，F1のみに寄生昆虫類が集まり両親には寄生昆虫類がそれほど寄生しない。 この現象は遺伝学的にも興味があり，また昆虫誘引物質の研究材料として，この誘引物質の生産機構或いは生産抑制機構の研究に役立つと考えられる。 そこで著者らは，このF1植物の遺伝子に何らかの変異があるかどうかを調査することにした。本研究では20種類のランダムプライマーを用いてRAPD解析を行った結果を報告する。