超音波診断による肉質評価の現状と問題点

摘要

我が国の固有品種である黒毛和種は，他の品種に類を見 ないほど筋肉中に脂肪を蓄積させる能力が高い。最近では胸最長筋（ロース肉）中の脂肪含量が50%を超える個体も 珍しくない。消費者はこの脂肪交雑を多く含hだ牛肉を賞 賛し「おいしい」としている。このことから流通において も高値で売買されている。これらのことから，黒毛和種の 改良は，脂肪交雑が中心となり年々改良が進hでいる"。 また，飼養管理においても脂肪交雑を上昇させるため，血 統，給与飼料，肥育期間等について様々に検討されている。 この肉用牛の評価は，と畜し，枝肉の第6-7肋骨間を 格付することで初めて評価される。しかしながら，生体の 段階で枝肉（産肉）形質が評価できれば育種改良の短縮 化、効率化，飼養管理技術の改善，枝肉供励会の出品の選 定などそのメ,リツトは計り知れない。生体における産肉形 質の評価は，以前であれば長年の経験からの外貌の評価に 委ねられており，主観に頼るところが多かつたと思われる。 このことは枝肉形質を外貌から間接的に評価していること になる。しかしな力sら，外貌と産肉形質，特に脂肪交雑と の間に科学的根拠に基づいた明確な関係があるという報告 がないのが現状である。