林木育種の成果シリーズ（8) —C0_2固定能力の優れた品種（幹重量の大きい品種）一

摘要

「気候変動に関する政府間パネル（IPCC)」は 2007年に公開された第4次報告書1)において「気候シ ステムの温暖化は疑う余地がない」とし，また「20 世紀半ば以降に観測された世界平均気温の上昇のほと hどは，人為起源の果ガス濃度の観測された増 カロによってもたらされた可能性力非常に高い」と報告 している。C0_2は主要な温室効果ガスの一つであり， 化石資源の大量消費や熱帯林の伐採.消失によって大 気中のC0_2濃度力年々上昇している。そのため，C02 排出量の削減及び大気中C0_2のB及収.固定は地球温暖 化を緩和するために重要な取り組みとなる。CO_2の吸収源として森林は重要である。樹木は光合 成によって大気中のC0_2を吸収し，そのネ對体内に長期 間固定する。国立環境研究所による報告書によれば， 森林によるC02吸収が大部分を占める「土地利用，土 地利用変化および林業」分野はC0_2吸収を行つている 唯一の分野であり，温室効果ガスの総排出量（C0_2換 算）に対して6.1%の吸収量が報告されている（2008 年度）。これは森林によるC0_2吸収のみで大気中の C0_2濃度上昇の問題を解決できないことを示唆するも のであるせ、各分野の努力による排出量の削減ととも に森林によるC0_2の吸収量の向上が「地球温暖化緩和 策」として有効であると考えられる。