組換えイネでつくられたIL-10植物を用いた安価で安全性の高いタンパク質生産系の確立

摘要

遺伝子組換え技術の発明により1980年にヒトイン シユリンが大腸菌で生産されたことに始まって，今では 微生物や動物細胞を用いて多くの組換えタンパク質が医 薬品などとして生産されている.ところが，大腸菌によ るタンパク質生産システムはェンドトキシンの混入リス クがあること，また動物細胞によるシステムではウィル ス，プリオンなど動物由来の病原体の混入リスクがある ことなどに加えて，培養に莫大なコストがかかるという 問題があった.近年，これらの問題を解決する新しい夕 ンパク質生産系として，組換え植物によるタンパク質生 産系が注目を集めてきている筆者らは，イネ種子胚 乳にタンパク質を蓄積するべクタ一(2'3)を用いてヒトの サイトカインIL-10 (インタ一ロイキン10)を発現させ， 抽出精製し，高活性でェンドトキシンを含まないIL-10 を得ることに成功した(4).日本での組換え植物の商業利 用としてはサントリーの青いバラに続き2例目になる.