地域有機資源の循環構造と利用可能性－綾部市の事例を用いた窒素フロ、－、モデルの構築－

摘要

窒素による環境負荷を軽減し、有機廃棄物を有機資源として有効利用することにより、資源循環型社会システムを構築することは、農業の持続可能性の観点から重要である。 有機資源の循環系の単位として地域（市町村）レベルに焦点を合わせ、京都府綾部市を取り上げ有機廃棄物の排出状況と処理、再資源化の実態を把握し、さらには再資源化の可能性を検討した。 その際、実態に即した窒素フロー図の作成とフロー量の推計（1979年～1998年）方法の構築を官庁統計及び調査によって得られたデータを用いて行った。 まず、現行の農地への化学肥料の投与と農作物副産物の還元を前提とすると、窒素ベースでの再資源化要求量が増加していると推計された。 窒素ベースでみて、家畜ふh尿と食品廃棄物の発崖量は20年間で大幅増加しており、全国値と比較してもその伸び率は高い。 特に、食品廃棄物は推計結果から近年その増加傾向に拍車がかかっている。 さらに地域に窒素が流入する原因は、20年間で化学肥料から飼料へと変化していることが明らかになった。この結果から、再資源化の可能性について検討した。 現在可能であると考えられる範囲では、有機廃棄物（家畜ふh尿、食品廃棄物、し尿）を再資源化することにより環境への窒素排出は約4割軽減し、化学肥料の使用を窒素べースで5割代替できることとなる。