水稲酒米新品種「越淡麗（こしたhれい）」の開発と新潟県の酒米育種

摘要

新潟県における2004年度の酒造好適米の作付面積ほ約2300haで，その90％近くを「五百万石」が占める．「五百万石」は大粒で心白の発現に優れ，麹が造りやすく，酒質が繊細できれいであるという特性を持つことから，高級酒から一般酒までの主力原料米品種として広く利用されている．しかし，「五百万石」でほ50％以下の高度な精白が難しいことから，大吟醸酒の醸造には他県産の「山田錦」が多く用いられており，このため県酒造業界からほ，大吟醸酒の醸造にも対応できる新たな酒米品種の開発が強く求められていた．こうした実需者ニーズに対応するため，1997年より酒造組合と醸造試験場，作物研究センターとが連携して新たな酒米品種の開発に取り組hできた．その結果，2004年に「山田錦／五百万石」の交配後代から，晩生熟期でタンパク質含有率が低く，精米特性に優れる水稲酒米新品種「越淡麗（こしたhれい）」が育成された．