フランスの新しい農業政策の方向

摘要

フランスでは、農業方向付け法により、時代の要請に応じた農業政策の方向性が示されている。 多面的機能に重点がおかれていたこれまでの99年法とは異なる、新しい政策が、今後どのように実施されていくのか注目される。 ここでは、農業経営の競争力強化、経済活動を通じた農業者の所得向上を目指す2006年法の特色について紹介する。 フランスでは、1960年以降それぞれの時代の要請に応じた農業政策の方向を示す農業方向付け法が定められてきた。 60年には欧州経済共同体の共通農業改築スタートを控えて最初の方向付け法が制定され、62年の補完法とあわせて、家族農業経営の近代化、競争力強化、規模拡大を進めるため、土地利用規制、老齢者の引退離農を促進し青年農業者への土地移譲を促進する措置（構造政策）等が定められた。 80年法ではこの方向がさらに進められた。 初めて社会党政権の下で定められた99年法では、農業が多面的機能を有することが規定され、そのための施策として国土利用契約が設けられるとともに、規模拡大よりも新規就農の促進に重点がおかれた。