(PS173r)HPT 加工した純 e Fe に生成 する 極圧添加剤配合潤滑油との表面反応膜の微細組織解析

摘要

回転体の構造金属部材と潤滑油との反応を利用したトライポロジー特性の制御は工業上極めて重要な技術である。戸高らは近年、金属材料のナノ組織化により摩擦係数を変化しうることを発見した[1][2] 。彼らは例えばエステル油を潤滑油として用いた場合、ナノ組織を有する試験体はそうではないものに比べて低い摩擦係数を示し [1] 、逆に極圧添加剤である TCP(リン酸トリクレジル)を加えたポリ-α-オレフィン油を用いた場合ではナノ組織材の方が高い摩擦係数を示す [2] という興味深い現象を報告している。しかし、これらの摩擦係数変化の発現機構の詳細については未解明な部分が多く残されている。本研究では、HPT 加工によりナノ組織化した純 Fe と TCP 配合ポリ-α-オレフィン油との表面反応について電子顕微鏡を用いた微細組織解析を行った内容について報告する。