ベーチェット病(BD)は,1937年にトルコの皮膚科医Hulusi Behcetによって報告された原因不明の炎症性疾患であり,眼,皮膚?粘膜症状に加えて,神経?血管など多臓器に炎症を来すことがある.本稿では,広義の自己炎症性疾患(AID)としてのBDを概説し,最新の基礎?臨床的知見を述べたい.1.ベーチェット病の診断:BDの診断には,本邦では厚生労働省の診断基準が用いられている.BDは症候群であり,主症状としての再発性口腔内アフタ性潰瘍,ブドウ膜炎,結節性紅斑?毛囊炎様皮疹?血栓性静脈炎などの皮膚病変,外陰部潰瘍に加え,副症状としての関節炎,副睾丸炎,血管?中枢神経?腸管病変の有無を確認して総合的に診断する(表1).海外では International Study Group(ISG)の基準が用いられているが,特殊型が基準に含まれておらず,本邦では頻度の低い針反応が基準に含まれている.いずれの基準を用いた場合でも診断には再発性の確認が重要である.一部の症例では周期性発熱や腹痛など家族性地中海熱様の症状を伴うことがある.加えて,腱付着部炎?仙腸関節炎などの脊椎関節炎(SpA),Budd-Chiari症候群,静脈洞血栓症,再発性多発軟骨炎との合併であるMAGIC症候群,骨髄異形成症(trisomy 8)などの合併にも注意する.発作性炎症であること,コルヒチンの有効性,他のAIDと臨床像が重複していることなどから,K?stnerらはBDをAIDに含めている.
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