生着症候群と移植後血球貪食症候群

摘要

生着症候群(engraftment syndrome: ES)，移植 後血球貪食症候群(hemophagocytic syndrome:HPS)は，生着期の高サイト力イン血症によつ て引き起こされる合併症の一つである.ES，HPSのほかにも生着前免疫反応（pre-engraftment immune reaction: PIR)や超急性移植片対 宿土病(hyperacute graft versus host disease ： hyperacute GVHD), idiopathic pneumonia syndrome (IPS)などが，移植前処置による組織傷 害や活性化したマクロファージ，T細胞などか ら分泌される炎症性サイトカインに起因する免 疫反応を発症機序としており，これらの疾患群 をまとめてpost-transplant cytokine storm syndromeと総称す る ことが提案されている。（図 1).発症機序が同様であるこれらの疾患群は臨 床的に鑑別困難であり，時にオーバーラップして究症することが知られている.