プラスチックレンズ技術の基礎 5 プラスチックレンズの射出成形システム（1）－成形金型

摘要

プラスチックレンズは、通常は単純な円盤状であるが、極端な肉厚変化を有し、図1に示すようにレンズ面の非球面精度、鏡面性のみならず両面の平行度、同芯度が要求される。さらに鏡筒の組立精度確保のための外径や外径真円度、光学特性確保に不可欠な光学ひずみや透明性などにも厳しい仕様が要求される。前回の各種成形法で解説したように、レンズ成形で最も多く採用されているのが熱可塑性樹脂の射出成形である。その基本プロセスは、①溶かす、②流す、③形づくる、④固めるの4工程よりなる。射出成形機のシリンダー内で加熱溶融された樹脂がスクリューにより金型内に射出され、スプルー、ランナーを経てゲートを通りキャビティを充填した後、冷却固化し、成形品が完成する。②の後半、③と④の工程の大部分が金型内の現象である。