はじめに

摘要

自然免疫学がノ一ベル生理学?医学賞の対象となって4年が過ぎた.Toll様受容体 (TLR)は，自然免疫学のひとつの主役として長く研究がされてきた.30年前，ハエのToll の発見を報告した論文に掲載されたカビにまみれたハエの衝撃的な写真は，いまも多くの 人に強く印象を残している.その後，哺乳類のホモ口グであるToll like receptor 4(TLR4) の発見を端緒に，およそ10のTLRファミリ一分子が特定され，そしてTLR4の受容体機 能に不可欠なMD-2の発見が続いた.受容体分子群やシグナル伝達分子のノックアウトマ ウスの解析から，それぞれの受容体が認識する病原体パターンである外来性リガンドの特 定ゃ，活性化シグナルの伝達経路の責任分子について詳細に検討されてきた.近年は，シ グナル伝達の責任となる"場"が活性化プラットホームとしてフォーカスされ，"場"の違 いによるシグナル伝達の様態なども報告されてきている.