高血圧におけるレニュ·アンジオテンシン系の歴史

摘要

レニン·アンジオテンシン系の研究史を振り返るには，直結する血圧，血流，心臓など，循環系の研究史に遡らざるをえない．まず心臓と動脈と静脈がonewayでつながっていること，すなわち血液循環が発見されたのは452年も前（1557年／Harvey）であったが，その血流により生じる血圧はその後2世紀近くたってはじめて測られ，血圧は心臓の拍動と一致して上下することも観察された（276年前，1733年／Hales）．さらにそれからほぼ1世紀余を経て（173年前，1836年），Brightが腎疾患にはhard pulse（すなわち今日の高血圧）や心肥大を伴うことを記載し，これが後に腎からの体液性作用によると考えられて，レニン発見にたどり着いたのはさらに62年後（明治31年，1898年）であった．ただしBrightの時代には，高血圧の概念もなかったのみか，ヒトの血圧が実際にはじめて直接に測られたのはBright論文から11年後（1847年／Poiseulle）のことであった．