特殊な鼠径部ヘル二ァの診断と治療-精索脂肪腫を中心に

摘要

精索脂肪腫は，鼠径管外側から内鼠径輪を経由して脱出した後腹膜脂肪組織である. 腹腔鏡下手術では意図的に検索しない限り見逃され，再発の原因となる.sacless lipomaは鼠径ヘルニアと同等に扱うべき疾患である.われわれが鼠径へルニァの手術の際に使用している 「精索脂肪腫」という用語の正体は，鼠径管外側から 内鼠径輪を経由して脱出する後腹膜脂肪組織（腹膜前 脂肪組織）である.本来，「脂肪腫」という用語は良 性腫瘍に用いられる用語であるため，病理学的に正常 な滑脱した後腹膜脂肪組織に脂肪腫という用語を用い ることは誤称である力歴史的に「精索脂肪腫」とい う用語が使用されてきた.