転移性肝癌との鑑別が困難であった肝膿瘍併発S状結腸癌の1例

摘要

近年，大腸癌に併発した肝膿瘍の報告が散見されるようになってきた．今回，筆者らは進行S状結腸癌の転移性肝癌との鑑別が困難な肝膿瘍を併発した症例を経験したので報告する．2001（平成13）年1月に39°C台の発熟，全身倦怠感を認め，当院内科を受診した．腹痛などの症状は認めなかったが，採血にて炎症反応と貧血を呈し精査治療のために入院となった．身長161cm，体重70kg，眼瞼結膜に貧血を認めるが黄痘はなかった．胸部，腹部には異常を認めず，体表リンパ節は触れなかった．