直腸癌に対するNOSE (natural orifice specimen extraction)

摘要

腹腔鏡下直腸手術にreduced port surgery (RPS)の範疇であるnatural orifice specimen extraction (NOSE)の手法を取り入れ，より低侵襲手術となるよう工夫した.病変を経肛門的に摘出することで腹壁の切開創をなくし，さらには腹壁のポー卜数を減らし，サイズも細径化 することで侵襲を軽減した.縫合不全を回避するためには，肛門外へ引き出した口側腸管の血流保持と，病変摘出後の開放された直腸断端 の確実な閉鎖を行うことが重要である.わが国で大腸癌に対する腹腔鏡下手術が開始され，約20年が経過した開始当初はS状結腸や上行結 腸など手技の容易とされる部位から手技の普及をみた が，手技が困難とされた直腸部にも徐々に適応は拡が り施行されているのが現状である.