切除不能膵癌に対する抗がh+分子標的薬治療

摘要

最近のがhの統計によると，わが国における膵癌の年間罹患数は29,025名（2007年），年間死亡数は 28,829名（2011年）であり，依然増加している.ま た，切除例と非切除例を合わせた5年生存率が5-10%と極めて予後不良の疾患である.切除手術が唯 一治癒の期待できる治療であるが，診断時，すでに多 くは切除不能の状態であり，また根治切除後も極めて 再発が多い.膵癌に対する薬物療法としては，ゲムシタビン塩酸 塩（GEM)が脬癌の標準薬物療法となって以降，10 年以上にわたってGEMが標準治療薬として用いられ ている.分子標的治療薬としてGEM +エル口チニブ が標準治療の1つとして位置づけられ，また最近では, 海外でFOLFIRINOX療法やGEM +ナブパタリタキ セル併用療法の新しい治療法が開発されてきている. 本稿では膵癌における薬物療法の最近の進歩について,分子標的薬を中心に概説する.