初夏ビリキャベツに発生した株腐病の発生生態と防除

摘要

東京都における初夏どりキャベツは、四月上旬～下旬に定植し、六月中旬～七月中旬に収穫する作型である。 一九九三年七月、この作型で収穫直前～収穫期に株腐病が急速に蔓延し、激しい被書を及ぼした。そこで、本病の発生生態および防除について検討した。 本病は初め、結球側部から下部にかけて灰黒色～黒褐色、水浸状の病斑を生じる。 発生初期の病斑の拡大は比較的緩慢であるが、降雨が連続し、湿潤状態が継続すると、腐敗が結球全面に急速に拡がる。 結球部の腐敗は表面の数葉に限られ、結球内部へはほとhど進展しない。 外葉の腐敗は結球部表面の腐敗に比べ、その進展はいちじるしく遅い。 したがって、本病の発生初期～盛期には結球部のみが侵されているように見えるが、病気が進行すると、外糞を含めて株全体が腐敗症状を呈する。また、り病棟には病原菌の無色～淡褐色でクモの巣状の菌糸や、褐色～暗褐色で不定形の菌核が容易に観察される（写真1）。