Bropirimine (U-54461S)の膀胱上皮内癌に対する後期第Ⅱ相臨床試験(追跡調査)

摘要

抗癌剤bropirimine (U-54461S)の膀胱上皮内癌(CIS)全48例に対する後期第Ⅱ相臨床試験で,有効性(奏効率41.5:17complete response(CR)/41完全例)がみられたことを前報で報告した。その後,有効症例の奏効期間を検討するために, 2年間の追跡調査を実施した。 CR17例において, 9例は1年以上再発が認められず,うち5例は2年以降も奏効を持続していた。 非再発率(平均観察期間29.1(+-)4.2か月)をKaplan-Meier法により算出すると, 1年70.3%, 2年61.5　 であった。 また,調査期間中5例が再発した。 bropirimine投与全47例中11例に勝朕全摘除術が施行され, Kaplan-Meier法により算出された膀胱非全摘率は, 1年87.2%, 2年).7%, 3年74.0%であった(平均観察期間31.8(+-)5.2か月)。 一方,bropirimine治療後の再発および無効例の後治療についてみると, BCG膀胱内注入療法は19例で,うち13例がCRであった(奏効率68.4%)。 このことからbropirimine治療によるBCG膀胱内注入療法の効果への干渉はないものと思われた。 以上より, bropirimineは治療後の転帰も含めた有用性が確認され, bropirimineはCISに対する一つの新しい治療法を提供できる薬剤であると思われた。