高Crフェライト系耐熱鋼のクリープ変形にともなうマルテンサイト組織変化に及ぼすV·Nb添加量の効果

摘要

近年、高Crフェライト系耐熱鋼のクリープ特性向上を目的とした研究が盛んに行われている中で、V·Nbの炭窒化物であるMX型析出物を母相内に微細析出させた析出強化の有用性が数多く報告されている。これまで著者らは、高Crフェライト系耐熱鋼において、Nbについては0．01wt．％以上添加してもクリープ寿命にほとんど影響しないこと、Vについては0．06から0．18wt．％まで添加した場合に、単調にクリープ寿命が延びることをそれぞれの単独添加材におけるクリープ試験により明らかにした。 また、過剰なNb添加によってマルテンサイト組織中の旧オーステナイト粒径が極端に微細化すること、V添加量が増加することによりMXを含む炭窒化物の析出状態が変化し、初期組織を強化することを明らかにしている。 しかし、これらの組織についての知見は初期材についてのものであり、このような初期組織の差異がクリープ破断の過程においてどのような違いをもたらすかについては明らかにされていない。 そこで本研究では、V·Nb添加量を変化させた高Cr鋼のクリープ変形にともなう組織変化について調査を行った。