コラ一ゲン分子種と線維症形成へのかかわり

摘要

多細胞生物をレンガ造りの建物にたとえると，細胞がレンガ，細胞外マトリックス(Extracellular Matrix ： ECM)はセメントと表現できる. ECMなくしては多細胞構造自体が存在できない ので，このたとえはECMの重要性を強調したい ときによく用いられている.コラーゲンは動物の ECMの主要構成分子であり，総蛋白質の3割を 占め，結合組織の支持体として働いている力气そ れは単なる支持体ではなく，他のECM分子とと もに細胞の外部生育環境を構成し"細胞のゆりか ご"として機能している，また，細胞に適した"足 場"を提供し，情報伝達の媒体となり，細胞に適 する居場所や方向性の情報を与え，細胞とともに 組織の形態を決定していく能動的な役割をも有し ており，かならずしもレンガとセメントのような 関係ではない.その詳細な機能については今後の研究に託されている.