国土数値情報を用いた地下熱特性の分析と地下熱利用形態に関する研究

摘要

本研究は，建築·都市におけるエネルギーシステムを計画する際の基礎的資料とすることを目的として，蓄熱体あるいは熱源として多様な利用形態の可能性をもつ地下の熱特性を分析したものである．地下熱利用システムは，海外では既に多くの実施例があるのに対して，国内においては地中熱交換器の伝熱特性などに関する実験と解析例が見られるものの，今日に至るまで普及するには至っていないのが現状である．その原因として，地盤構造が複雑で，流動性の地下水が豊富に存在するために，地下の熱を利用するという着想が，海外と比較して生まれ難かったこと，および建築·設備設計に関わる技術者への設計指針が，海外と比較すると日本では未だ確立されていないことが挙げられる．また，これまでの研究では，主にシステム上の技術開発に重点が置かれ，実用化を視野に入れた場合の立地条件の評価，検討手法に関する研究例は，極めて少ないと言える．