VOC排出規制と処理·回収技術②：触媒酸化によるVOC処理－貴金属触媒を用いたVOC処理の適用例

摘要

VOC（揮発性有機化合物）は工場·事業所などから多量に排出されており、浮遊粒子状物質などと共に光化学オキシダントの生成原因となる前駆物質であることがわかっている。 VOC処理対策がそれほど進んでいなかった1960年代後半に比較すると、都市部等の光化学オキシダント濃度は改善傾向にあるものの、1980年代からは横ばい傾向が続いており、国際的な環境問題に対する認識が高まる中で新たな対策が求められている。 このような状況の中、政府は2004年にVOCを規制物質として加える改正大気汚染防止法を公布し、2006年からの施行を定めている。 最小限の法的規制と事業者による最大限の自主的取り組みを合わせて相乗的な効果を発揮させるベストミックスを採用し、2010年までにVOC発生量を2000年度比で3割削減することを目指す。 本稿ではVOC処理技術の一つである貴金属触媒を用いた触媒酸化法によるVOC処理に焦点を当て、適用事例や課題その対策などを紹介し貴金属触媒によるVOC処理の現状について述べる。