静止衛星系／非静止衛星系地球局の種類,業務,運用など：地球局の基礎知識

摘要

「地球局」とは衛星に電波を送偏したり，衛星からの電波を受信する無線設備の総称です．一般的には表1のように分類して理解するとわかりやすいでしょう．大分類では静止衛星系地球局と非静止衛星系（低軌道衛星系）に分けます．次に，前者はさらに衛星を追跡管制するためのTTC地球局，衛星回線を運用管理する自営型地球局（VSATオペレータ），衛星通信サービスを提供するサービス型地球局の三つに分類し，後者は主として商用サービス型地球局と，地球観測用地球局やアマチュア衛星用地球局などの自営型地球局の二つに分類します．なお，実用に供されている自営型地球局（VSATオペレータ）や商用サービス型地球局（アップリンカー）に代表される衛星通信用地球局の設備は，現在ほとんどすべてディジタル通信方式に置き換わっています．理由は経済的なものです．すなわち，衛星利用料金は信号が占有する周波数帯域に比例して上昇するので，利用者コストを抑えるために，アナログ信号と同一品質でありながら周波数帯域の狭いディジタル信号を利用する方式が一般的となったためです．こうした商用サービスでは，ディジタル回線の特徴を十分活かすことができるために，衛星と地上IP回線とのシームレス接続も頻繁に行われています．