5083アルミニウム合金板材における引張変形時の応力変動に及ぼすひずみ時効の影響

摘要

5083アルミニウム合金を研究対象に選び，引張変形時の応力変動へ及ぼすひずみ時効の影響について検討を行ったところ，次の結果が得られた。 ひずみ時効後の応力変動は，ひずみ時効の温度と保持時間の影響を受けることを明らかにした。 いずれのひずみ時効温度でも保持時間の経過に伴い応力変動は発生するが，温度上昇に伴い発生に要する保持時間は長時間となる。 ひずみ時効温度の上昇ならびに保持時間の延長に伴い，ひずみ時効前後における流動応力の差分は単調に増加した。 この流動応力の増加は，コツトレル雰囲気の形成に対応すると考えられた。上記（1）および（2）の結果より，コットレル雰囲気がある大きさに達した時点でひずみ時効後の応力変動が発生すると考えることば困難であった。 しかし本研究では，ひずみ時効温度と変形温度の効果を個々に検証していないので，今後はこの点に関する検討が必夢主恩われた。328K付近でひずみ時効を施すと，セレーション変形領域において応力変動が発生するひずみ（臨界ひずみ）は明瞭に低下した。 しかし，臨界ひずみの低下量とひずみ時効を施すひずみの大きさや保持時間の長さの問には定量的な対応関係は認められなかった。