AZ31マグネシウム合金圧延板の角筒絞り性に及ぼす結晶粒径の影響

摘要

マグネシウム合金においてより低温での深絞り成形を実現するための材料開発の方向性を，特に結晶粒径の違いに着目して検討した。 結晶粒径の異なる5種類のAZ31合金圧延板材を用いて角簡深絞り成形と引張試験を行った。 （1）473Kでほすべての材料において良好な深絞り成形性が得られた。 423Kでほ10μm以下の結晶粒径を有する材料においてのみ良好な深絞り成形性が得られた。 十分な成形性の得られなかった材料では，コーナ部より割れが発生した。 結晶粒径の違いにより深絞り成形性が異なることが明らかになった。 （2）コーナ部の表面荒さは，最も粗大な結晶粒を有する材料において幾分大きかった。また，すべての材料のコーナ部で動堕零時郵こよると考えられる微細結晶粒が観察された。 動的再結晶による結晶粒の微細化が表面荒れの抑制につながっていると推測された。 （3）高温引張試験においてほ成形性の違いにもかかわらず，強度や破断伸びに大きな差異ほ認められなかった。 しかしながら，423Kにおいても良好な成形性を示した材料においては，他の材料と比較して高いγ値を示し，成形条件が同じであれは，マグネシウム合金でも他の金属材料と同様にγ値が深絞り成形性を評価する指標として利用できることが示唆された。（4）より低い温度域での深絞り成形性を向上させるには，成形限界や表面荒れの観点から，結晶粒がなるべく微細な材料を用いることが望ましいと結論される。