傾斜パッド型SPT浮上ヘッドによるシリンダ状CoPtCr-SiO_2垂直二層膜媒体のR/W特性

摘要

高速転送を目指したシリンダ状磁気ストレージシステムの開発に向け，本研究では，試作した傾斜パッド型SPT浮上ヘッドのR/W測定を通じた実浮上特性の評価と，SPT浮上記録ヘッドを用いたシリンダ状CoPtCr-SiO_2垂直二層膜媒体のR/W特性の評価を初めて行った。その結果, 実浮上特性は設計浮上量とよい一致を示し，本浮上ヘッドがシリンダ上で安定浮上し制御可能であることを明らかにした。 高い記録分解能を引き出すSPT記録浮上ヘッドを適用し，D_(50)値約310kFCIを得たが，本研究におけるヘッド媒体間の磁気スペーシングは約40nmと現状のHDD系の2倍以上であるため，更なる高分解能化にはこの低減が必須であることを示した。 更に，ヘッド走行方向に長い主磁極膜構造とすれば，高面密度化に向けた高保磁力媒体も飽和記録が可能と考えられる。 媒体の表面平滑性向上と保護層薄膜化，ヘッド低浮上化による磁気スペーシング低減と併せることで、ディスク媒体と同様，高いR/W特性が期待できる。