放電加工における加工速度向上の一方策 -ギャップへの電気入力に関する観点から-

摘要

放電加工法の歴史における，工具電極の低消耗化と加工速度向上に関しては最も古くからの課題であると言えるであろう。 工具電極の低消耗化に関しては，最近優秀な材料の提案があり，当初に比べて格段に進歩したと言えるであろう。 一方，加工速度に関しては，最近関西支部の事業として工場見学会を催した時も「放電加工の加工速度があまりにも遅い，学会としての取り組みが何かなされているのであろうか」との質問を，見学先の技術者から受けた。 その後学会などにおいて画期的な改善策が提案されたとは言えず，「加工速度向上はいまなお，新しい課題である」。 筆者は，加工速度改善の一方策として放電ギャップへ投入する電気入力を，面粗さを増加せずに大きくできないかと模索し続けてきた。 その結果として単一放電継続期間中の並列パルスアーク現象に行き当たった。