夢から現実を伺う新生ターボ機械：ターボファンエンジンフロントファンの空力減速

摘要

航空用タービンエンジンの一種である高バイパス比（フロントファンを通過した空気がバイパスされる流量とコアエンジンに入る流量の比）のターボファンエンジンは、大量の空気を比較的低速で噴き出して推力を得るため、マッハ数0.8～0.9程度の高亜音速で推進効率（エンジン出力に対する推進仕事率の割合）が高く、燃料消費が少なく排気騒音も比較的小さいので、中大型ジェット旅客機用エンジンの主流をなしている。 しかし、近年、地球温暖化問題が深刻さを増し、ターボファンエンジンにおいても燃料消費率の更なる向上が強く求められている。 その有効策としてコアエンジン低圧タービン部の小型高速化が望まれる（たとえば、フロントファン径2m、バイパス比10程度で2～3倍高速化）が、大径フロントファンが低圧タービン軸に直結されている従来の方式(Fig.1)では、ファンのマッハ数および遠心応力の制約からむやみに回転速度を上げることができず、高バイパス比になるほど相対的に高速化が困難となる。 その一解決手段として本稿では、フロントファンと低圧タービン軸との間に空気を作動流体とするドライバ翼車およびタービン翼車からなる軸流形式トルクコンバータを介する、フロントファンの新たな駆動方式を紹介する。