俳句よもやま話

摘要

一茶という俳人は余りにも有名である。 しかし井月(せいげつ)という俳人を知る人は少ない。 二人を比較しながら相似点と相違点を述べることで、井上井月という俳人のあらましが語れるのではないかと思う。 先ず相似点をあげると①共に信州にゆかりの俳人であること。 一茶は信州柏原産、井月は長岡生まれだが没するまでの三十年間を伊那に生きた。 ②ほぼ同年代に生きた俳人であること。 但し正確には同時代に生きたのは五年間に過ぎない。 即ち井月五歳のとき一茶が亡くなっている。 ③ほぼ同年齢で亡くなっていること。 一茶は六十四歳、井月は六十六歳。 人生五十年の時代としては人並み以上の寿命と言えるかも知れない。 ④共に放浪俳人であること。 後の世にかの放浪俳人山頭花が井月を慕ってお墓参りに訪れたことは有名である。