新たな大気汚染公害被害者救済制度の必要性とその基本的考え方

摘要

多くの反対を押し切って，公害健康被害補償法（以下，公健法）の第一種地域指定が1988年に全面解除されてから，約20年が経過した．しかし，大気汚染公害とそれによる健康被害は，決して過去の問題となったわけではない．日本環境会議では，この間，「環境再生」をキーワードに，様々な議論を重ね，提言を行ってきたが，「環境再生」の出発点は，公害·環境汚染によって発生した被害の救済である．そこで，一昨年（2007年）の11月に大気汚染被害者の新たな救済制度のあり方に関する研究グループを組織し，検討を行ってきたその結果，国のレベルでの新たな制度の必要性とその基本的な考え方について，一定の整理を終えることができたので，今回，その内容を公表し，広く意見を求めることにした次第である．今後，制度の具体的な提言の作成に向けて検討をさらに深めたいと考えているので，様々な意見が寄せられることを期待している．