最高の左官技術には最高の漆喰を

摘要

漆喰は世界の建築文化を支えてきた重要な素材として、また、現代ではシックハウス問題から再評価が進んでいる安全で健康な素材として、さらにはデザイナーや建築家にとっては新しい意匠としての魅力を再発見できる素材として、決して廃れることのない素材?工法として残って行くと思う。 問題は、左官技術の継承に必要なだけの施工量が確保出来るかと言うことである。 左官の世界も高齢化が進んでおり、手が確保できなければコストの上昇と現場の減少という悪循環に陥り、かつて全国に遍く普及し、これだけ安価で優れた工法はないと「左官読本」で中村伸先生が絶賛していた木舞土壁と同じ運命をたどることになりかねない。 そうならないためには漆喰を施工するための技術やノウハウを業界で広く共有し、普通の人が普通の住宅でもっと普通に使えるようにならなければならないと思う。それは材料メーカーだけで出来ることでも無く、材料と施工と両方の業界が協力しての啓蒙活動や相互研礫を通じて、初めてユーザー側の理解を深めて行けるのではないかと思う。