新しい接合要素を用いた制震構造システムの構築/第一回 接合品質の問題解決に向けて、H形鋼柱の再考

摘要

鋼構造建築で採用される架構の変遷を見ると、初期はI形鋼とならんで、山形鋼や溝形鋼と平鋼をリベットで組み立てた部材が柱や梁に使われ、その後、1960年代のH形鋼の本格的な製造によって柱梁ともH形鋼とする形式が普及し、同時に接合は溶接と高カボルトに変わり、中小規模の建築では「張聞方向ラーメン構造、桁行方向ブレース構造」が典型的な架構形式として走者した。 だが、より平面計画上で自由度の高い「2方向ラーメン構造」を実現するため、1970年代にはH形鋼に鋼板を溶接して箱形の断面とした、いわゆる「日の字断面」の柱が流行するが、溶接技術の普及期にあって脚長の小さな隅肉溶接などの不十分な溶接で施工されることが多く、問題視され、標準加工方法の普及と溶接品質の確保にかなりの努力が要求された。