機能性薬品を主とする製紙用薬品の技術変遷とウエツトエンドへの適用

摘要

近年，製紙業界では国内外での競争力を高めるために，環境負荷の低減や省資源化に加え，コスト削減を強力に推し進めるべく様々な施策が講じられている。傾向としては，古紙利用率の拡大，DIPやブロークパルプの配合量増大，抄紙用水のクローズド化，低速マシンから高速マシンへの統廃合による抄紙機の高速（広幅）化，紙·板紙の低坪量化（軽量化）や安価な填科の高配合化などが進んでいる。それに伴いウェットエンド環境の悪化が進行し，製紙用薬品のパルプ繊維への定着や機能発現が益々阻害されやすい状況となっている。