ヤコウガイ蓋の硬さ特性評価－琉球列島先史時代遺跡から発掘された貝器の硬さ等に関する一考察

摘要

貝蓋内面の周縁の1／3程度に剥離痕をもつ物は掻器や削器として，左右縁辺2箇所に剥離痕をもつ楔形器はどんぐりの加工の用途も考えられている。周縁の一部が研磨成形された両刃石斧形貝蓋切削器についての用途は不明である。一般に，貝の殻はバイオミネラリゼーション（生物が鉱物を作る－生物の鉱物形成作用）の産物である。炭酸塩鉱物と少量の有機物質からなり，このような鉱物は特に「バイオミネラル」あるいは「生鉱物（生体鉱物）」といい，バイオミネラルの集合体は「硬組織」と言われている。