強力超音波の応用：ガラス表面に形成された硬質皮膜の強力超音波による除去手法に関する研究

摘要

地球環境問題に、地球資源の不足、ゴミの過増がある。 この問題の解決のために、近年様々なものがリサイクルされるようになってきている。 その中で大口径の非球面レンズのような「精密光学レンズ」は完全なリサイクル化が果たされていない。 精密光学レンズは様々な理由から表面に光学薄膜が付着させている。 また、使用後は種々の汚れも表面に残っていることが予想される。 これらの付着物を、レンズ表面を損傷せずに除去する技術がまだ存在しないため、現在はレンズそのものから作り直さなければならない。 本研究はそのようなレンズのリサイクル化を可能にする技術の確立を目的とする研究である。 これまでのレンズ洗浄は水中に没したレンズに強力超音波を照射し、キャビテーション現象を起こしてその衝撃波により汚れを除去させていたが、この方法の場合、キャビテーション現象の性質上レンズにキズをつけずに一様に汚れを除去することは難しい。 そこで筆者は従来にかわる実用的な技術として微粒子が懸濁されている液内に強力超音波を照射して、汚れや光学薄膜が付着した使用後のレンズに微粒子を加速させ衝突させることで、付着物をレンズにキズをつけず一様に除去することを考えた。 本研究ではこの手法の有効性と原理を実験的に確認することを試みた。